2015/03/26

Innovation 日本発、開発者ストーリー

IGORA ROYAL PIXAM-G

ヘンケルでは毎年たくさんの製品を世界中の人に届けています。そんな新製品に関わる人々に、開発の裏側や込められた思いを聞く『Innovation:日本発、開発者ストーリー』。今回は、ヘンケルジャパン・コスメティックス研究開発センターのお二人に、2015 年春発売のヘアカラー「イゴラ ロイヤル ピクサム- G」について話してもらいました。

コスメティックス研究開発センターではどんな仕事をしているのでしょうか。

▍町田:私たちは、製品にどんな成分をどれだけ入れるかという、いわゆる処方を組む、フォーミュレーターです。アジア太平洋地域の開発は上海、東京に拠点があり、アジア全体をカバーしています。東京ではカラー、パーマ製剤の研究開発をしています。カラーはドイツ、東京がメインの開発拠点で、これは髪質が欧米人、アジア人で異なるということもありますが、カラーに使える染料は法律で決まっていて、特に日本は厳しいので、他の国と共通で作れないんです。ヨーロッパの同僚からは「あれもこれも使えなくて、本当に処方が組めるの!?」と驚かれます。

ピクサム- G では、高級化粧品にも多く使われるアミノセラミドの力を生かしたことが、最大の特長ですね。

▍内田:セラミドは、その保湿力から40 ~ 69 歳の女性の関心が高いものです。私はスキンケアの研究をしていたこともあるので、以前から興味を持っていました。セラミド自体はとても高価で、似た効果のある物質で機能もより良いものを探していたところ、味の素株式会社さんの「エルデュウ®」という原料(アミノセラミド)が、カラーに使える許可を持っていたので、人より先に研究してみようというのが始まりでした。
▍町田:肌にはキューティクル構造はないし、髪にはターンオーバーのような新陳代謝はありません。本来、性質は大きく異なります。私はアミノセラミドはスキンケアのイメージが強いので、最初聞いた時は「本当に効果があるの?」と疑問に思っていました。

どんな効果があるのですか。

▍内田:アミノセラミドキャリアテクノロジーと呼んでいますが、染料となじみが良く、分散性が高いことです。水に溶けた時に、一緒に染料も抱えるので、髪の内部まで届いて補修をするのと同時に、よりムラなく染めることができます。私たちも、染料の浸透性と髪のケアは別々にとらえているところが多かったので、一つの成分がどちらにも効くというのは発見でした。他の製品でも、エルデュウ® を保湿剤として入れているものはありますが、機能に着目し原料開発者とも協力しながら技術を開発したのは、これが初めてです。
▍町田:白髪染めである以上、よく染まることと髪へのダメージ軽減は永遠の課題なんです。というのも、過酸化水素とパラフェニレンジアミンを組み合わせ、髪のキューティクルを開いて、脱色して染料を入れるという基本骨格は、この100 年変わっていません。個人差は大きいものの、年を重ねると髪のハリ、コシは減ってくるので、カラーのこの本質が変わらない以上、黒髪と白髪をどう均一に染めるか、ダメージをいかに減らしたり、感じなくするか、そのための研究が続いているんです。

その点でも、今回は均一な染まりとケア効果が長く続く「潤弾力」が可能になったそうですね。

▍内田:アミノセラミドキャリアテクノロジー以外にも、配合するオイルやベースクリームの改善が大きいですね。アミノセラミドが「良い」と実感できたのも、実際は製品化のために色を作っていく時でした。また、ピクサム-G には、オレイン酸デシルという高延展性のエステルオイルを使っています。他の製品では天然系のオイルも多く使われますが、このオレイン酸デシルは化学的なオイルなので純度が高く、薄く均一に延びるという機能面では利点があります。年齢を重ねると髪のボリュームも気になるので、薄づきでべたっと重くならない使用感を重視しています。
▍町田:ベースクリームは、アンモニア臭の低減が長く課題でした。現在は液晶構造といって、ミルフィーユのように油と水のレイヤーを作り、水に溶けたアンモニアの揮発を抑えることで臭いが出にくくなるクリームを使っています。10 年以上前に私が研究を始めたものですが、より低臭にしようとするとクリームの伸びが悪くなるので、このバランスの見きわめには今回苦労しました。開発は、毛髪や成分の基礎研究と、具体的な商品の企画に沿った製品研究とが常に並行しています。処方決定時には、その時点でのベストを出しますが、さらに研究は続いています。ひとつの製品は、いくつもの改善の積み重ねによって出来上がっているんです。

研究としては、始まりや終わりという区切りがなくずっと続いているんですね。

▍内田:そうですね、それに基礎研究と製品研究では苦労する部分も違います。ピクサム- G ではベース開発の期間が長く、思うように結果が出ない試行錯誤がありましたね。
▍町田:化学者らしからぬ発言ですけど、最後の色調整は熟練工や料理人のようなところがあるんです。目の前の仕上がりを見ただけで、数字がなくても頭の中で調整が必要なものが見えてきます。モデルさんも「言われてみれば、そうかな」というくらいの左右の色の違いですが、私たちはこの成分をこのくらい動かせばもう少しこんな色になるなと計算しながら見ています。

イゴラ ロイヤルの次の目標はどこでしょうか。

▍町田:低臭技術のベース処方は、日本だけでなくドイツでも、新しいイゴラシリーズから採用されています。ピクサム- G では、従来の製品の約半分まで臭いを抑えていて、最近ではサロンでも臭いが気になる方は、もうあまりいないでしょう。次はさらに何をより良くするかという段階です。パサつきや傷みのような問題はまだ大きいので、ケアに関してはもっと追究したいテーマですね。

ヘンケルジャパン・コスメティックス研究開発センター シニアフォーミュレーター

町田 昌治
実家が理容室で「カラーやパーマが身近にあったことは、 今この仕事を選んでいることに、やっぱり大きく影響し ています」。

ヘンケルジャパン・コスメティックス研究開発センター フォーミュレーター

内田 航太
仕事の醍醐味は研究した技術や製品が広がっていくこ とで「サロンで自社製品を実際に見かけると、とても うれしいです」。

エルデュウ® とは?
味の素KK のバイオファイン技術により開発された、ECOCERT(エコサート)認証のアミノ酸系高機能エモリエント油剤です。アミノ酸の一種であるグルタミン酸、ヤシ油由来の脂肪酸、高級アルコール、植物由来のフィトステロールから構成されています。セラミド類似物質として肌や髪で高い機能を発揮します。

メディアコンタクト hj.webmaster@henkel.com マイコンテンツに追加

報道関係者の皆さまからのお問い合わせはメールにて承ります。