2015/11/30  東京、日本

Innovation日本発、開発者ストーリー

サイオス カラーリフレッシャートリートメント

ヘンケルでは毎年たくさんの製品を世界中の人に届けています。そんな新製品に関わる人々に、開発の裏側や込められた思いを聞く『Innovation:日本発、開発者ストーリー』。今回は、ヘンケルジャパン・コスメティックス研究開発センターの福田浩明さんに2015 年10 月に発売された「サイオス カラーリフレッシャー トリートメント」についてお話を伺いました。

どんな機能を備えた製品か、その特徴について聞かせてください。

福田:サイオス カラーリフレッシャー トリートメントは、髪の表層近くに染料が徐々に吸着、浸透して髪を染めるタイプの製品で、一般的には“カラートリートメント”、“染毛料”と呼ばれています。市場に出ている一般的なカラートリートメントは髪をケアしながら、伸びてきた白髪を染め、目立たなくするものですが、伸びてきた白髪だけでなく酸化染毛剤でカラーリングをした髪にも着目し、『既染部のカラーメンテナンス』という新たな要素を取り入れたのがこの製品です。
通常、カラーリングをした髪は徐々に色落ちし、2週間後あたりから色落ちが気になり始めます。また、約1ヶ月後には伸びてきた白髪も1cm程度になり、徐々に目立ち始めます。サイオス カラーリフレッシャー トリートメントを定期的に使用することで次に髪を染めるまでの間、白髪を目立たなくすると同時に既染部の色を染めたてのように自然にキープすることができます。
週に数回、シャンプーの後5分程度の使用で既染部のメンテナンスができます。次のカラーリングまで、髪の色を染めたてのフレッシュな印象に保つという発想は従来のカラートリートメントにはなかったもので、それがこの製品の大きな特徴です。

白髪を染めることと既染部を自然な色合いに保つということはある意味、髪に対し相反するアプローチが求められたということですね。

福田:はい、相反するアプローチを模索しながら、中間のパフォーマンスをいかに上げていくかが最大の課題でした。アジア人の黒髪に適応する製品としてヘンケルの研究所で開発するのは初めての試みでした。
まずはヘンケル独自の安全性基準、日本で定められた規定に即し、それにコスト面を考慮して数多くの染料の中から約10 種類の染料を選びました。染料の化学構造からおのおのが持つ特性を見極め、この染料を多くしたら主に白髪部分にアプローチし、この染料とこの染料を組み合わせれば既染部が自然な色合いに仕上がるだろうと試していくわけですが、頭ではわかっていても実験結果が伴わないことも多かったです。最初のころは予想を超えた結果に驚くこともありました。

“染料の化学構造から特性を見極める”とは具体的にどのようなことですか。

福田:カラートリートメントに使用される染料の中には化学物質が示す性質としてプラスのものとマイナスのもの、そしてどちらでもないものがあります。既染部の傷んだ部分はマイナスになっていることが多いことからプラスの構造を持つ染料がくっつきやすく、色が白いだけで実は健康毛である白髪はどちらの性質でもない、つまりプラスやマイナスのものはくっつきにくいのです。最終的に選んだ6種類の染料のうち、この3種類は既染部に、この3種類は白髪に入るというように単純に振り分けられるわけではないので、各染料が持つ特性、いわば得手不得手を考慮しながらパワーバランスを図る必要がありました。試験を繰り返すことで、濃度を上げないと見えない色、薄くしても主張する色、シャンプーで抜けやすい色などがわかってきたのですが、実際髪にどう反応するのかは試してみるしかなく、今回はモデルテストにかなりの時間をかけました。

モデルテストというのは実際に白髪があるモデルさんを使って行う実験ですね。

福田:そうです。今回は適度に白髪がある女性をモデルにして実際の使用を想定した実験を行いました。1回の使用でどの程度白髪や既染部、そして頭皮が染まるかを幾度となく確認し、そして、適切な色となるサンプルを絞り込んだ後、定期的に使用することでどのような変化が起きるかを確認しました。
具体的には、まずモデルさんの髪全体を酸化染毛剤で染め、約1週間後に髪の状態をチェックしました。この段階で染めた髪の色が少しずつ抜けてきているのがわかりますが、まだ白髪は目立つほど伸びていません。そこで頭部の半分だけにカラーリフレッシャー トリートメントを施術し、それから3~4日置きに5回、次のカラーリングまでの約1ヶ月間、テストスタジオに通っていただき、その都度頭部の半分だけにこの製品を施術しました。左半分と右半分でどういった差が生じるか、最初に染めた髪色から異なる色味に変化していないか、毎回細かい点まで確認を行いました。最終的に、白髪が染まり、かつ染めた髪の色も元の状態を維持するという、ベストなバランスの処方を見つけ出しました。ご協力いただいたモデルさんも本当に大変だったと思います。

あらためて消費者に着目してもらいたいのはどこでしょう。

福田:やはり着目していただきたいのは、トリートメントしながら伸びてきた白髪を染めつつ、さらに“既染部をメンテナンスする”マルチプルな機能です。日本でカラーリングという文化はすでに定着しました。カラートリートメントを使って髪をケアしながら、伸びてきた白髪を染めることも一般的になってきましたが、この製品はさらに一歩進んだ画期的な製品だと思います。基礎実験やモデルテストを入念に行い、使用頻度は週1~2回に設定しました。カラーリングとカラーリングの間、髪の色ツヤをフレッシュにキープするためにこの製品を使うことが『髪色ケアの新習慣』になることを望んでいます。

新製品の開発にはご苦労が多いですが、より良い製品を求める研究に終わりはありませんね。

福田:そのとおりです。異なる役割を兼ね備えた製品だけに、すべての機能をバランスよく発揮させる過程でたくさんの試行錯誤がありました。さまざまな実験を行い結果的に採用できなかったものも少なくありません。それらも知見として残り、次の研究に活かすことができるかもしれません。一つ一つの失敗が決して無駄になるわけではないんです。そう考えると試行錯誤の一つ一つがまた新たなモチベーションになります。このサイオス カラーリフレッシャー トリートメントがそうであるように、「一歩先」のニーズに応える製品の開発に向けてこれからも研究を重ねていきたいと思います。

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ヘンケルジャパン・コスメティックス研究開発センター

フォーミュレーター

福田 浩明

2013年入社。以前は化粧品会社でファンデーション開発に携わり『色を見る目』を鍛えてきた。「とはいえ皮膚と髪ではメカニズムが全然違い、ヘアカラーの研究は想定外の連続、壁に突き当たることも多いですが、それだけに結果を出せたときの喜びはひとしおです」