2020/08/13  デュッセルドルフ、ドイツ

ヘンケル、2020年上半期および第2四半期の業績を発表

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の深刻な影響にもかかわらず
全体的に堅調な業績を達成

  • 社員の安全、お客様への供給、コミュニティの支援に注力
  • グループの上半期売上高は9,485百万ユーロで、名目売上高は6.0%減、既存事業売上高は5.2%減
  • 営業利益*は27.5%減の1,191百万ユーロ
  • 売上高営業利益率(EBITマージン)*は370ベーシスポイント減の12.6%
  • 優先株(一株)あたり利益(EPS)*は29.2%減の1.96ユーロ 為替変動の影響を除外するとマイナス28.2%減
  • フリーキャッシュフロー(純現金収支)は938百万ユーロで、純財務状況が改善
  • 市場の不透明感が続いており、2020年の新たな通期見通しは未定
  • 意義ある成長に向けた新たなアジェンダを順調に実施

    * 一時所得、一時費用およびリストラ費用を除く

ヘンケルの最高経営責任者のカーステン・クノーベルは、「2020年上半期、ヘンケルは、世界的な景気後退と多くの業界における需要の急激な落ち込みにより大きな影響を受けました。これまでにない世界的危機の中、ヘンケルは社員の保護、お客様への供給、事業の継続、コミュニティの支援に注力しています。2020年上半期にこのような業績を達成できたのは、卓越したチーム精神と世界中の社員の取り組みによるものです。一般消費者用事業および工業用事業の広範なポートフォリオにより、この危機が全体的な売上高や利益に与える影響が緩和されました。2020年上半期の売上高は約95億ユーロ、営業利益は12億ユーロ、売上高営業利益率(EBITマージン)は12.6%でした。2019年の配当金を全額株主に支払い、非常に強力なフリーキャッシュフローを創出し、純財務状況をさらに改善しました。この危機の中、パンデミックによる時短勤務の導入、政府支援金の申請、労働力の削減は行いませんでした。非常に困難な環境の中で、全体的に堅調な業績を達成しました」と述べています。

ヘンケルの2020年上半期の売上高は9,485百万ユーロでした。これは名目売上高として前年同期比6.0%減、既存事業売上高として同5.2%減でした。2020年上半期の調整後の営業利益は1,191百万ユーロで、前年同期比27.5%減でした。調整後の売上高営業利益率(EBITマージン)は前年同期比370ベーシスポイント減の12.6%でした。

上半期の6カ月の間に、アドヒーシブ テクノロジーズ(接着技術)事業部門は、特に主要な顧客業界の需要の大幅な落ち込みの影響を受けました。ビューティーケア事業部門は、主に各国で美容室の営業禁止に伴うヘアサロン事業の大幅な減退の影響を受けました。ランドリー&ホームケア事業部門は、清掃製品の需要拡大などが追い風となり、力強く成長しました。

カーステン・クノーベルは、「しなしながら、不確定な状況が続く中、信頼性の高い通期の見通しを現時点で新たに示すことはできません。現在の危機に対応しつつ、今後数年にわたる意欲的な成長のアジェンダに引き続き全力で取り組みます。当社は新たな戦略的枠組みに沿った最初の取り組みを開始しました。今後も意義ある成長に向けたアジェンダの実施を積極的に進めます」と述べました。

2020年上半期のグループ売上高および利益

ヘンケルグループの2020年上半期の売上高は前年同期比6.0%減の9,485百万ユーロでした(第2四半期は11.0%減の4,558百万ユーロ)。為替変動と買収・売却の影響を除外した既存事業売上高は、5.2%減となりました(第2四半期は9.4%減)。買収・売却の影響は0.3%でした(第2四半期は0.2%)。為替変動による売上高への影響はマイナス1.1%でした(第2四半期はマイナス1.9%)。

新興市場の既存事業売上高は2.6%減でした(第2四半期は7.1%減)。成熟市場の既存事業売上高は6.9%減でした(第2四半期は10.9%減)。

上半期の西欧の既存事業売上高は8.0%減でした(第2四半期は11.6%減)。東欧の既存事業売上高は3.1%増加しました(第2四半期は3.8%減)。アフリカ・中東の既存事業売上高は4.2%増加しました(第2四半期は1.4%増)。米の既存事業売上高は6.4%減少(第2四半期は10.9%減)、中南米の既存事業売上高は11.4%減少(第2四半期は20.1%減)、アジア太平洋地域の既存事業売上高は6.4%減少(第2四半期は7.2%減)しました。

調整後の営業利益(調整後EBIT)は、前年同期の1,641百万ユーロから27.5%減少して、1,191百万ユーロとなりました。

上半期の調整後の売上高営業利益率(調整後EBITマージン)は、前年同期比3.7パーセントポイント減の12.6%となりました。

調整後の優先株(一株)あたり利益(EPS)は、2019年上半期の2.77ユーロから29.2%減少し、1.96ユーロとなりました。為替変動の影響を除外した場合は、28.2%減でした。

売上高に対する正味運転資本は4.4%に引き続き改善しましたが、前年同期(6.7%)を大幅に下回りました。

2020年上半期のフリーキャッシュフローは引き続き堅調で938百万ユーロとなりました(2019年上半期は990百万ユーロ)。

2020年6月30日時点では、ヘンケルの純財務状況はマイナス1,951百万ユーロ(2019年12月31日時点ではマイナス2,047百万ユーロ)であり、この第2四半期に約800百万ユーロの配当を支払いましたが、改善しました。

2020年上半期の事業部門別業績

2020年上半期の接着技術事業部門の売上は、名目売上高では前年同期比12.2%減の4,153百万ユーロでした(第2四半期は19.7%減の1,944百万ユーロ)。既存事業売上高は10.9%減少しました(第2四半期は17.4%減)。上半期、特に第2四半期はCOVID-19の流行によって産業、自動車関連の製造が大幅に減少したことの影響を受けました。調整後の営業利益は36.6%減少して543百万ユーロとなりました。調整後の売上高営利益率は2019年上半期を下回る13.1%でした。特にパンデミックの影響で販売が大幅に減少したことが影響しました。

2020年上半期のビューティーケア事業部門の既存事業売上高は8.5%減少しました(第2四半期は12.8%減)。名目売上高は前年同期比7.4%減の1,818百万ユーロでした(第2四半期は11.9%減の883百万ユーロ)。これは特にヘアサロン事業に対するCOVID-19のネガティブな影響によるものでした。調整後の営業利益は172百万ユーロで2019年上半期から35.4%減少しました。調整後の売上高営業利益率は特にヘアサロン事業における販売減の影響で9.4%に減少しました。

ランドリー&ホームケア事業部門の2020年上半期の既存事業売上高は4.9%増加しました(第2四半期は4.4%増)。名目売上高は3.8%増の3,460百万ユーロでした(第2四半期は2.3%増の1,705百万ユーロ)。調整後の営業利益は前年同期比6.0%減の531百万ユーロでした。調整後の売上高営業利益率は特にマーケティングおよび広告、デジタルやITへの投資の拡大により、2019年上半期から減少し15.3%となりました。

意義ある成長のアジェンダ:新たな戦略的枠組みの導入

ヘンケルは2020年3月初めに今後の成長アジェンダを発表し、明確な戦略的枠組みを策定しました。これは優れたポートフォリオ、イノベーション・サステナビリティ・デジタル化の分野における競争力、未来を見据えた事業モデル、そして、その強固な企業文化などで構成されます。カーステン・クノーベルは、「戦略的枠組みによりヘンケルは意義ある成長に明確に注力し2020年代を勝ち抜いていきます。3月の発表以来、すでに第一弾の活動の開始や対策の実施を大きく前進させています」と説明しています。

ヘンケルの将来の方向性において主要な要素となるのが積極的なポートフォリオ管理です。ヘンケルは、主に一般消費者向け事業の中から総計で売上高10億ユーロ以上となるブランドやカテゴリーを特定し、そのうちの半数を2021年末までに売却または廃止する予定です。現在の不確定な市場の中、ヘンケルは発表済みのスケジュールに従ってポートフォリオ対策を実施することを再確認しました。今年、すでに主に接着技術事業部門で、売却総額が約80百万ユーロに達する取引契約の締結や事業の廃止を進めています。

積極的なポートフォリオ管理と平行して買収もヘンケルの戦略の欠かせない要素となります。ヘンケルは先日、買収総額約500百万ユーロに上る2件の買収に合意しました。ビューティーケア事業部門では、急成長している3つのビューティーブランドからなる事業について株式の過半数を取得し、デジタルでお客様と直接つながる取り組み(D2C)を強化しています。接着技術事業部門では、GEブランド*で展開される魅力的な一般用シーラントポートフォリオの買収により、北米の一般用接着剤事業を強化します。この事業は様々な用途向けの幅広いシリコンシーラントで構成されています。

さらに競争力を強化するため、影響力のあるイノベーションの推進、差別化を図るためのサステナビリティの加速、お客様価値創出に向けたデジタル変革に注力します。

ヘンケルは投資を拡大し、影響力のあるイノベーションを推進します。これにはイノベーション向上のアプローチも含まれます。中核的なカテゴリーや地域への一貫した投資により、イノベーションやブランドを支援します。これに沿って、ヘンケルは広告、デジタル、ITへの成長投資をさらに強化するべく取り組みます。今年上半期はマクロ経済学的な困難の中、50百万〜1億ユーロ規模の投資拡大を行いました。

接着技術事業部門ではデュッセルドルフにある最先端のイノベーションセンターに引き続き投資しました。一般用事業では様々な地域で衛生製品のラインナップと新たな消毒剤や清掃製品の製造を迅速に強化しました。

競争力を確保するための戦略の主な柱は、影響力のあるイノベーションによる市場での明確な差別化です。接着技術事業ではシーリングおよび含浸技術の幅広い工業用ソリューションに基づき、ハイエンドスマートフォンの防水性を向上させる新製品ラインを立ち上げました。これは世界有数のスマートフォンブランドと連携して実施しました。ビューティーケア事業部門では、ヘアカラーのより「技術的な」カテゴリーにおける自然な流れで、新たにシュワルツコフのブランドSimply Colorを立ち上げました。ランドリー&ホームケア事業部門ではPersil 4in1 Discの展開を拡大しました。Persil Discの売上高はパーシルブランド全体の10%近くを占めています。

サステナビリティはヘンケルの強みの一つです。その主導的役割はランキングや評価で常に裏打ちされています。このため、ヘンケルはサステナビリティを明確な競争力の推進材料とし、サステナビリティにおける主導的地位の強化を目指しています。この取り組みを推進するため、次のマイルストーンと具体的な目標を設定しました。その一つは2040年までにクライメート・ポジティブ(環境に前向き)な企業となることです。

ヘンケルは世界に先駆け、2020年6月にプラスチック廃棄物削減ボンド(社債)を導入しました。これは、魅力的な金融商品とサステナビリティの推進を連動させる新たな取り組みとなりました。この約100百万ユーロの社債の収益は、ヘンケルのプラスチック廃棄物削減の取り組みに関連するプロジェクトや費用に特化して割り当てられます。これは循環型経済を育成し、プラスチック廃棄物を削減し、サステナブル・ファイナンス(持続可能な金融)を実現するヘンケルの取り組みを示すものです。

また、開発プロセスの早期段階でパッケージングのリサイクル性を迅速かつ確実に評価できるリサイクルデザインツールの「EasyD4R」を拡張しました。他の企業や組織向けに提供されてきたこのソフトウェアは、様々な種類のプラスチックパッケージだけでなく、紙、ガラス、アルミニウムなどの素材にも対応できるようになりました。

ヘンケルのサステナビリティの取り組みは一般消費者用製品や工業用製品にも反映されています。例えばランドリー&ホームケア事業ではPro Nature製品に新たにSomatおよびBref Pro Natureを追加しました。Pro Nature製品は30カ国で提供されており、99.9%が天然成分で、パッケージは最大100%リサイクルプラスチックです。ビューティーケア事業ではNature Box、N.A.E.のブランドで固形のシャンプー、ボディーソープ、洗顔料を投入しました。これらの製品にプラスチックパッケージは使用されていません。接着技術事業部門では、認証済みのリサイクル可能なヒートシール、コールドシールコーティング剤Loctite Liofolを市場に投入しました。これはポリエチレンを紙に置き換えることを実現する製品であり、食品その他のパッケージングに幅広く活用できるソリューションです。

イノベーションとサステナビリティと合わせてヘンケルはデジタル化を競争力強化の重要な要素として位置づけています。上半期のデジタル売上高は、ビューティーケア事業部門とランドリー&ホームケア事業を合わせて60%以上の大きな伸びを記録しました。グループ全体の総売上高に対するデジタル売上高の割合は10%台半ば近くに迫っています。新たな「デジタル事業」部門を立ち上げ、業界有数のデジタルビジネスを育成し、お客様に具体的な価値を創出することを目指しています。このため、6月末にはデジタルとITの取り組みの新たな業務モデルを導入し、IT部門、デジタルビジネスの専門家、ビジネスプロセスオーナー、HenkelX Venturesを最高デジタル・情報責任者(DCIO)が統括する体制を整えました。

無駄なく迅速で未来を見据えた業務プロセスもヘンケルの戦略的枠組みの重要な要素です。ヘンケルは業務プロセスと構造が無駄なく迅速でシンプルなものとなっているか定期的に見直し、変化する市場の進展やトレンドに対応しています。また、新たなビジネスモデルは、お客様や消費者に寄り添う形で策定します。ヘンケルは接着技術事業部門とその購買部で新たな事業モデルの導入を成功させました。ランドリー&ホームケア事業およびビューティーケア事業部門の組織変更においても、地域への注力を強化し、お客様や消費者に寄り添う取り組みを推進しています。

さらには、企業文化の醸成や文化の変革の推進も前進に向けた重要な要素です。権限を付与された社員とリーダーシップコミットメントを中核とする協力的な文化を育むことを目指します。ヘンケルでは、社員が専門性や個人的なスキルを継続的に向上できることを重視しています。2020年上半期は、リーダーシップ、デジタル化、イノベーションといった分野で、特別なトレーニングやスキルアッププロジェクトを展開しました。コロナ危機の中で、ヘンケルの強力な企業文化と世界中の社員のレジリエンスと献身も証明されています。

COVID-19感染拡大への対応

COVID-19感染拡大により、生活のあらゆる側面に支障が生じ、世界経済に甚大な影響がおよんでいます。このような中、社員、お客様、ビジネスパートナーの皆様の健康と安全はヘンケルにとって最優先事項です。早期から幅広い予防措置を講じてきました。同時に事業活動を継続し、世界中のお客様や消費者に貢献し続けるため大きな努力を払ってきました。さらに、世界保健機関(WHO)と国連財団(United Nations Foundation)による新型コロナウイルス感染症連帯対応基金(COVID-19 Solidarity Response Fund)やその他世界中の複数の団体への金銭の寄付など、世界的な連帯プログラムを実施しました。また、個人や家庭向けに衛生用品500万個以上を寄贈し、全拠点で消毒剤を製造しています。保健当局や医療機関を支援するため、世界で111,000リットル以上の消毒剤を製造、寄贈しました。これまで世界40カ国以上で約500件のCOVID-19関連のプロジェクトを支援し、COVID-19で援助を必要とする約500万人の方に貢献しました。

カーステン・クノーベルは、「危機的事態の進展に常に対応していかなければなりません。市場の混乱に対し、柔軟かつ迅速に対処していきます。変化を積極的に方向づけ、新たな境地を切り開きます」と締めくくりました。「献身的なグローバルチーム、意義のある成長に注力する当社の新たな戦略的枠組み、強力なバランスシート、財務上の柔軟性、健全なキャッシュフローを創出する力により、この困難な状況に対応し、この危機からさらに強くなって立ち上がることができると信じています」。


* GEはGeneral Electric Companyの商標であり、ライセンスに基づいて使用されています。


2020年8月6日にドイツ・ヘンケル本社が発表した業績レポートの日本語訳版です。本業績レポートは英語が原本であり、その内容・解釈については英文原本が優先します。

本資料には、今後ヘンケルに影響を及ぼしうる将来の事業動向、財務成績、その他の出来事または動向に関する記述が含まれており、これらは将来予測に関する記述に該当する可能性があります。将来予測は、英文中 ”expect“ “intend ” “ plan ” “ predict” “assume” “believe” “estimate” “anticipate” “forecast”等の語や同様の表現を用いて特徴づけられています。本プレスリリースにおける将来予測は、弊社経営陣の知見と現在の予測に基づくものです。こうしたステートメントは、将来予測の実現を確約するものでは決してありません。将来のヘンケル社および関連企業の業績は、多くのリスクならびに不確実な要因によって、本稿の将来予測とは異なる場合があります。こうした要因の多くは、経済状況や競合の活動、その他市場要因など、弊社のコントロールを超えるものや前もって正確に予測することができないものです。ヘンケルは、これら将来予測をアップデートする意向はなく、またそれに関するいかなる義務を負うものでもありませんので、ご了承ください。

本資料には、適用可能な財務報告枠組みの中で明確に定義されていない代替的業績指標であるか、またはそのような可能性のある補足的な財務指標が含まれています。ヘンケルの純資産、財務状況または経営成績を評価する際は、これらの補足的な財務指標を単独で解釈すべきではなく、また連結決算報告書に適用される財務報告枠組みに従って表示されたヘンケルの純資産、財務状況または経営成績の代替的な指標と見なすべきではありません。類似の名称の代替的業績指標を報告または記載している他の企業は、かかる指標を、ヘンケルとは異なる方法で計算している可能性があります。

本資料は情報提供のみを目的としており、投資助言を提供するものではなく、有価証券の売却の申し出または購入の勧誘を構成するものではありません。

カーステン・クノーベル、最高経営責任者

マルコ・スウォボダ、財務(最高財務責任者)/購買部門担当