2022/03/16

車載ディスプレイ用 液状光学透明感圧型接着剤

LOCTITE AA 8671 PSA ADを開発

ヘンケル社オートモーティブコンポーネンツ事業部は、車載ディスプレイ用途に液状光学透明感圧型接着剤 (以下PSA-LOCA*と呼ぶ)、LOCTITE AA 8671 PSA ADを開発した。本製品の最大の特長は、硬化後も柔軟性とタックを有する点にある。そのため、硬化後の貼り合わせが可能である。本製品の代表的な使用方法を下図に示す。

「LOCTITE AA 8671 PSA AD」の代表的な使用方法

従来、UV硬化型接着剤を用いたダム&フィル工法では、接着剤塗布2工程、UV照射3工程が必要であった。プリジェル工法では、接着剤塗布は1工程で済むものの、UV照射は依然3工程必要であった。それに対し、ヘンケルPSA-LOCAでは、接着剤塗布1工程、UV照射1工程に削減できる。

ヘンケルPSA-LOCAを用いた工法の場合、ダム剤は不要、仮硬化の必要もない。また、貼り合わせ前に硬化が完了するため、従来工法で、貼り合わせ後にカバーガラス加飾印刷下の未硬化部に側面からUVを照射していた、いわゆる、サイドキュアを行う必要もない。これにより、大幅な工程簡略化が可能になる。さらには、工程管理項目が削減されるため、品質向上も期待される。

本製品を365 nm UV-LEDを用い、照度500 mW/cm2、積算光量15,000~25,000 mJ/cm2で硬化させた場合の硬化率は、70~82 %であった。硬化率は、FT-IRを用い、硬化反応により減少する1,620~1,640 cm-1のピーク (C=C結合に起因) 高さの減少率から、以下の通り、算出した。

このような硬化率に設定することで、表面タックが最適化され、被着体への十分な接着力が確保される。また、同時に、柔軟性も確保されるため、被着体の歪みや寸法ばらつきを吸収しやすくなる。実際、LOCTITE AA 8671 PSA ADで貼り合わせたディスプレイは民生用に比べ厳しい耐環境性が要求される車載用ディスプレイの信頼性評価にも合格することが確認されている。


*PSA:Pressure Sensitive Adhesiveの略 LOCA:Liquid Optically Clear Adhesiveの略

青木 雪絵 ヘンケルジャパン株式会社 接着技術事業部門 オートモーティブコンポーネンツ事業部 担当 080-3538-0321 yukie.aoki@henkel.com 名刺のダウンロード マイコンテンツに追加