2023/11/17  デュッセルドルフ ドイツ

第3四半期も成長の勢いが継続

ヘンケル、2023年度業績見通しを上方修正

  • グループの売上高は約5,400百万ユーロ、既存事業売上成長率は2.8%増
  • 両事業部門が既存事業売上高成長を牽引:
    • アドヒーシブ テクノロジーズ(接着技術)事業部門:既存事業売上高成長率は0.8%増
    • コンシューマーブランド事業部門:既存事業売上高成長率は6.2%増と大幅な伸び
  • 接着技術事業部門、Critica Infrastructure(クリティカ・インフラストラクチャー)の買収を通じ、M&A(合併買収)による成長への明確な注力を反映
  • コンシューマーブランド事業部門:統合が当初の予定を大幅に上回るペースで進捗 – 2023年末までに統合によるコスト削減目標の80%以上を達成見込み
  • 2023年度業績見通しを上方修正:
    • 既存事業売上高成長率:3.5~4.5%増(修正前:2.5~4.5%増)
    • 調整後の売上高営業利益率(EBITマージン):11.5~12.5%(修正前:11.0~12.5%)
    • 調整後の優先株(一株)あたり利益(EPS):為替変動の影響を除外して15~25%増(修正前:5~20%増)

ヘンケルは、2023年第3四半期においてグループ売上高が約5,400百万ユーロとなり、2.8%増の既存事業売上高成長率を達成しました。この増加は、前年と比べて原材料費が高騰していることを考慮した価格の継続的な大幅改定によるものです。販売量は減少したものの、第2四半期に比べて顕著な改善が見られました。名目売上高は、主に第2四半期におけるロシアからの事業撤退と為替変動によるマイナスの影響により、前年同期比9.0%減となりました。

ヘンケル最高経営責任者のカーステン・クノーベルは、「厳しい市場環境が継続していたにもかかわらず、両事業部門の貢献により第3四半期も成長の勢いを継続することができました。この業績に基づき、今年度の業績見通しを上方修正しました。特に、調整後の優先株(一株)あたり利益(EPS)については、為替変動の影響を除外して15~25%の大幅な増加を見込んでいます。また、魅力的な企業の買収によって接着技術事業部門のポートフォリオを強化しました。これは、M&A(合併買収)による成長への明確な注力を反映するものでもあります。そして、ここ数十年で最も大きな変革的取り組みであるコンシューマーブランド事業部門への統合は当初の予定を上回って進んでいることが明らかとなっています」と述べました。

第3四半期においても重要なエンドマーケットの一部では需要の低迷が続いていましたが、接着技術事業部門では、モビリティ&エレクトロニクス事業本部、クラフトマン、コンストラクション&プロフェッショナル事業本部に牽引され、プラスの既存事業売上高成長率を記録しています。今年年初から新体制となったコンシューマーブランド事業部門では、グローバル事業分野のランドリー&ホームケア事業とヘア事業に牽引され、既存事業売上高成長率は高い伸びとなりました。

クノーベルは、「両事業部門とも、第3四半期は第2四半期に比べ、販売量に顕著な改善が見られました。これは、今年度上半期業績レポートの発表の際に示した見通しを裏付けるものです。第4四半期では、さらなる継続的な改善を見込んでいます」と述べています。

さらに、第3四半期も戦略的成長アジェンダを順調に進めました。さらなる成長のための基盤構築に向けて、魅力的な関連企業であるクリティカ・インフラストラクチャーを買収し、接着技術事業部門のポートフォリオに追加しました。クリティカ・インフラストラクチャーは、さまざまな産業用途向けに革新的な複合材料修復・補強ソリューションを提供している企業です。コンシューマーブランド事業部門では、コンシューマー向け事業の統合が当初の予定を上回るペースで進んでおり、2024年末までの第一段階における正味のコスト削減目標250百万ユーロの80%以上が2023年末までに達成される見込みとなっています。さらに、利益率と成長率の高いブランド・製品に特化した、コンシューマーブランド事業部門のポートフォリオの構築を進めています。

クノーベルは、「第3四半期も、両事業部門において戦略的優先事項を着実に推進しました。その結果、さらなる成長に向かい、グローバルなマーケットリーダーとしての地位の拡大軌道を順調に進んでいます」と説明しました。

グループ売上実績

2023年第3四半期におけるグループの名目売上高は5,440百万ユーロで、前年同期比9.0%減となりました。ロシアの事業売却の影響を含む買収・売却による売上高への影響はマイナス5.5%でした。同様に為替変動による売上高への影響もマイナス6.3%となりました。
既存事業売上高成長率(為替変動と買収・売却による影響の調整後)は2.8%増でした。この増加は両事業部門の価格の継続的な大幅改定によるものです。販売量は前年比減となりましたが、両事業部門において2023年第2四半期と比べ顕著な継続的改善が見られました。

202319月期名目売上高は、16,366百万ユーロで前年同期比3.1%減となりました。既存事業売上高は、2桁の割合の価格改定により4.1%増と高い伸びとなりました。

3四半期における既存事業売上高成長率は欧州、北米、中南米、IMEA(インド・中東・アフリカ)地域が牽引しました。それとは対照的に、アジア太平洋地域の既存事業売上高は、主に中国全体における厳しい市場環境が主な要因となり減少しました。

202319月期の既存事業売上高についても、アジア太平洋地域を除いた全地域が牽引役となりました。

接着技術事業部門の売上実績

接着技術事業部門では、2023年第3四半期の名目売上高は2,711百万ユーロ(前年同期:2,995百万ユーロ)と前年同期比9.5%減となりました。既存事業売上高成長率(為替変動と買収・売却による影響の調整後)は0.8%増でした。この増加は大幅な価格改定によるものです。それとは対照的に、重要なエンドマーケットの一部で需要の低迷が続いたことから、販売量は前年度の水準を下回りました。買収・売却による売上高への影響はマイナス3.8%でした。為替変動による売上高への影響はマイナス6.5%と、大幅なマイナスとなりました。

接着技術事業部門における202319月期名目売上高は3.3%減の8,186百万ユーロとなりました。既存事業売上高成長率は、価格改定により3.3%と高い伸びを達成しました。

3四半期の既存事業売上高を牽引したのは、モビリティ&エレクトロニクス事業本部、クラフトマン、コンストラクション&プロフェッショナル事業本部でした。モビリティ&エレクトロニクス事業本部は、既存事業売上高成長率が4.6%増と、大幅な伸びを記録しています。この増加をオートモーティブOEM事業が牽引した一方、エレクトロニクス事業部は、需要の低迷が続いたため、前年同期を下回りました。インダストリアル事業の既存事業売上高は増加しました。

パッケージング&コンシューマーグッズ事業本部については、コンシューマーグッズ事業部、パッケージング事業部共に売上高が減少し、既存事業売上高は5.0%減となりました。この減少は、両事業共に需要の鈍化と比較対象となる前年同期の大幅増の反動が要因となっています。クラフトマン、コンストラクション&プロフェッショナル事業本部の既存事業売上高成長率は、コンストラクション事業部と一般用接着剤事業部に牽引され、2.8%増となりました。それとは対照的に、ジェネラルマニュファクチャリング&メンテナンス事業部の既存事業売上高は、需要低迷により僅かに減少しました。

地域別に見ると、第3四半期の接着技術事業部門についてはまちまちな業績結果となりました。欧州地域においては、既存事業売上高は小幅な減少となりました。モビリティ&エレクトロニクス事業本部とクラフトマン、コンストラクション&プロフェッショナル事業本部の既存事業売上高の増加は、パッケージング&コンシューマーグッズ事業本部の減少を相殺するには至りませんでした。北米地域ではモビリティ&エレクトロニクス事業本部に牽引され、既存事業売上高成長率はプラスとなっています。IMEA地域における既存事業売上高は、全事業分野の貢献により2桁成長を達成しました。中南米地域における既存事業売上高は、モビリティ&エレクトロニクス事業本部とパッケージング&コンシューマーグッズ事業本部に牽引され、大幅な成長を記録しました。これとは対照的に、アジア太平洋地域の既存事業売上高は、前年比減となりました。主な要因として、全事業分野が特に中国全体における厳しい市場環境の影響を受けたことが挙げられます。

コンシューマーブランド事業部門の売上実績

コンシューマーブランド事業部門では、2023年第3四半期名目売上高が、前年同期比7.6%減の2,695百万ユーロとなりました。既存事業売上高成長率(為替変動と買収・売却による影響の調整後)は6.2%増でした。この伸びは2桁の価格上昇によるものです。一方、現在進行中のポートフォリオ最適化措置の影響もあり、販売量は減少しました。為替変動による売上高への影響はマイナス6.3%、買収・売却による売上への影響はマイナス7.5%でした。

コンシューマーブランド事業部門における202319月期名目売上高は、8,060百万ユーロで前年同期比2.3%減となりました。
既存事業売上高は、価格改定により前年同期比5.9%増となりました。

ランドリー&ホームケア事業分野の第3四半期における既存事業売上高成長率は5.8%増となりました。ランドリーケア事業は、主にファブリック・ケアのカテゴリーの売上高の2桁台成長に牽引され、既存事業売上高が大幅増となりました。ホームケア事業の既存事業売上高も、主にトイレケアのカテゴリーの売上高の大幅成長に牽引され、大きく増加しました。

ヘア事業分野の第3四半期における既存事業売上高成長率は8.9%増と大幅な伸びとなりました。事業本部内においては、コンシューマー向け事業が、ヘアスタイリングカテゴリーとヘアケアカテゴリーによって牽引され、2桁台の成長を記録しました。プロフェッショナル向け事業の既存事業売上高は大幅に増加しました。

その他コンシューマー向け事業の第3四半期における既存事業売上高は、ポートフォリオ最適化措置の影響もあり、マイナス0.6%とわずかに減少しました。

地域別に見ると、第3四半期のコンシューマーブランド事業部門については、欧州地域の既存事業売上高が主にヘア事業分野に牽引され、堅調に推移しました。北米地域の既存事業売上高成長率は、全事業分野の貢献により大幅な伸びとなりました。中南米地域の既存事業売上高成長率も主にヘア事業分野に牽引され、大幅な伸びとなりました。IMEA地域の既存事業売上高は、ランドリー&ホームケア事業分野とヘア事業分野の貢献により2桁台の成長を記録しました。これとは対照的に、アジア太平洋地域では、既存事業売上高は前年同期を下回りました。ヘア事業分野が特に中国の低迷する市場環境の影響を受けたことによるものです。

当グループの純資産および財務状況

当グループの純資産および財務状況に2023年6月30日現在の状況から大きな変動はありませんでした。

今後の見通し

ヘンケル(Henkel AG & Co. KGaA)経営委員会は、2023年1~9月期の業績と10月~12月期の業績予測に基づき、2023年度業績見通しの上方修正を決定しました。

2023年度グループ既存事業売上高成長率を3.5~4.5%(修正前:2.5~4.5%)と見込んでいます。接着技術事業部門の既存事業売上高成長率は2.5~3.5%(修正前:2.0~4.0%)、コンシューマーブランド事業部門の既存事業売上高成長率は5.0~6.0%(修正前:3.0~5.0%)と予想しています。

グループの調整後売上高営業利益(EBITマージン)は11.5~12.5%(修正前:11.0~12.5%)と見込んでいます。接着技術事業部門の調整後売上高営業利益率は14.0~15.0%(修正前:13.5~15.0%)、コンシューマーブランド事業部門の調整後売上高営業利益率は10.0~11.0%(修正前:9.5~11.0%)と予想しています。

調整後の優先株(一株)あたり利益(EPS)は、為替変動の影響を除外して15.0~25.0%の増加(修正前:5.0~20.0%増)を見込んでいます。

2023年度業績見通しに関するその他の修正内容は以下の通りとなります:

  • リストラ費用は約300百万ユーロと予想(修正前:300~350百万ユーロ)
  • 有形固定資産および無形資産への投資によるキャッシュアウトフローは約650百万ユーロと予想(修正前:650~750百万ユーロ)

以下については前回予想を据え置きます:

  • 為替変動による売上高への影響(%):1桁台中盤のマイナス影響1
  • 買収・売却による売上高への影響(%):1桁台中盤のマイナス影響2
  • 直接原材料価格:1桁台前半の上昇率1

2023年第1四半期以降の報告体制について

2023年第1四半期より新たな報告体制(詳細についてはヘンケル2023年上半期業績レポート5ページを参照)を導入したことに伴い、コンシューマーブランド事業部門、2つの事業部門内の各事業本部、および欧州、IMEA、アジア太平洋地域に関して示されている前年数値はいずれも新報告体制に沿った数値となっています。

注:各数値を四捨五入しているため、合算しても上記の総額とは一致しない場合があります


1前年平均比。
2ロシアからの事業撤退の影響を含む。

※2023年11月9日にドイツ・ヘンケル本社が発表した業績レポートの日本語訳版です。本業績レポートは英語が原本であり、その内容・解釈については英文原本が優先します。

本情報には、Henkel AG & Co. KGaA.の経営陣による現在の予測および仮定に基づく将来の見通しが含まれています。将来予測に関する記述とは、英文中expect, intend, plan, anticipate, believe, estimateなどの語句や同様の表現の使用を指しています。この情報に含まれる将来予測は、弊社経営陣による現時点での予測と予想に基づくものです。これらの記述は、その予測が結果的に正しくなることを保証するものではありません。Henkel AG & Co. KGaA.とその関連会社が実際に達成する将来の業績と結果は、多くのリスクと不確実性に左右されるため、将来予測に関する記述とは大きく異なる可能性があります。こうした要因の多くは、経済状況や競合の活動、その他市場要因など、弊社のコントロールを超えるものや事前に正確に予測することができないものです。ヘンケルは、これら将来予測をアップデートする意向はなく、またそれに関するいかなる義務を負うものでもありませんので、ご了承ください。

本資料には、適用される財務報告枠組みの中で明確に定義されておらず、代替的業績指標(非GAAP指標)であるかまたはその可能性のある補足的な財務指標が含まれています。これらの補足的な財務指標は、単独で解釈すべきではなく、また連結決算報告書に適用される財務報告枠組みに従って表示されたヘンケルの純資産、財務状況または経営成績の代替的な指標と見なすべきではありません。類似の名称の代替的業績指標を報告または記載している他の企業は、かかる指標を、ヘンケルとは異なる方法で計算している可能性があります。

本資料は情報提供のみを目的としており、投資助言を提供するものではなく、有価証券の売却の申し出または購入の勧誘を構成するものではありません。

カーステン・クノーベル、最高経営責任者

マルコ・スウォボダ、財務(最高財務責任者)/購買部門担当